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それからというもの、僕は誰かと関わる事が怖くなった。
自分から周りと接する事はやめたし、勿論他人の物に触るなど以ての外だ。
そうしていると自然に周りも自分から距離を取るようになったし、誰からも関心を持たれなくなった。
…一人で生きていくことの方がよっぽど気が楽、そう思うようになっていったのだ。
それでも、授業などで物を触らなければならない時はある。
例えば、教師に問題を当てられ、前に出て答えを書かなければならない時。
『早く授業終わらせてぇな…。』
そんなつまらない教師の気持ちがチョークを通して伝わってくる。
…それくらいなら構わない。ただ、その人にとって大切な物だったり、普段からよく使っている物だったりするとその物に触れた時、その人の過去や気持ちが強く伝わるのだ。
だから、絶対に触りたくない。他人を知って、干渉などしたくないのだから…。
---けれど、その場面は突然訪れる。
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