囚われのお嬢様

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「ァイ、レテム チシタ。」 青年は何事かを言うと、人を呼んでメリアを回収させた。 操縦士は連れていこうとする人を静止して、青年へと何事か訴えた。青年は少し考えた後、頷いてほかの人達を連れて出ていった。 操縦士、ローウェンは杖をついてこちらへと寄る。何とかベッドに腰掛けると、左手を伸ばして私の頬を撫ぜた。 「申し訳ございません。私の操縦ミスのせいで、あなたをこんな状態にしてしまった…あの侍女も…全身にガラスが突き刺さって…あれでは嫁の貰い手も…」 ローウェンは痛ましいという表情でメリアの連れていかれた方を見る。 「私は極刑でも甘んじて受けます。何と言ってもあなたを無事に彼の国へ送り届けられなかった。直にあなたの所在を探しにどこかから部隊がやってくるでしょう…」 彼は痛ましい表情のまま話す。しかし、私は知っている。部隊なんて出すわけがない。あの人達が、彼の国の王子が。どちらも厄介払い。何なら娘を失って悲嘆にくれている、だとか花嫁をこの腕に抱くことが出来なかったのだと泣いて見せたり…そのような飾りにしかならないのだから。
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