火球大地

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 たぶん、この世界も、そうなるだろう。  ”幻魔”とともに燃え尽き、そして、永遠の暗黒世界になる。それは、正しいこと、なのだ。命在る世界というだけなら、まだまだ、いくらでもあるからだ。  それでいい、それでいいのだ。  僕は、自分に言い聞かせる。当然だと、いいながら。僕は僕に言い聞かせねばならない。必死に、言い聞かせねばならない。  なにかが、おかしい。  なにかが、おかしいのだ。  そうじゃないか?  こうして、小惑星で世界を破壊するのが当然なら、僕と”幻魔”と、どこが違うというのか。  あの”幻魔”の親玉である”幻魔大王”はこの大宇宙を破壊し、無に帰そうと豪語しているらしい。それは、そもそも論的に生物としては、あるまじき発想なのに・・  ”狂っている”というしかない。  そして、狂っているからこそ、暴走したのだ。  ならば・・  僕が、大連盟の本部の命令のままに、この世界を破壊したのも、同じではないか・・  そのようなころは以前には、考えもしなかった。だが、今、その結果をこうして目の前にすれば、赤く灼熱する地獄のような惑星のことを思えば、幻魔大王と、いったい何が違うというのか。 「何も、違わないよ。まったく、無茶なことをするものだな、それが、大連盟の”やり口”かよ」 「おまえ・・誰だよ、密航者か」 「ま、そういうことになるかな、ああ、一応名乗っておくと、ドク・タイガーだ」 「猿人系・・のようだが、見た記憶は無いな、どこの恒星系?」 「地球人だが、知らんか」 「地球?知らないな、どこにあるのだ?」 「まあ、いいさ。どこであろうと、わしは、今、ここにいる。それが、肝心だ、違うか」  そういうと、そのサルのようなおっさんは、火をつけた葉を巻いたそれを口にくわえて、その煙を吸い、そして吐き出した。 「まあ、そうだけど」 「乗員百人にも満たない駆逐艦クラスの宇宙船で、ここまで惑星を壊せるなんて、沙汰の限りもほどがあるな、アンドロメダの大連盟というのは。他の銀河系でもこんなものなのかな。これじゃあ、少なくとも下の惑星の住民には、幻魔か大連盟か、区別がつかんのじゃないか」
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