0人が本棚に入れています
本棚に追加
たぶん、この世界も、そうなるだろう。
”幻魔”とともに燃え尽き、そして、永遠の暗黒世界になる。それは、正しいこと、なのだ。命在る世界というだけなら、まだまだ、いくらでもあるからだ。
それでいい、それでいいのだ。
僕は、自分に言い聞かせる。当然だと、いいながら。僕は僕に言い聞かせねばならない。必死に、言い聞かせねばならない。
なにかが、おかしい。
なにかが、おかしいのだ。
そうじゃないか?
こうして、小惑星で世界を破壊するのが当然なら、僕と”幻魔”と、どこが違うというのか。
あの”幻魔”の親玉である”幻魔大王”はこの大宇宙を破壊し、無に帰そうと豪語しているらしい。それは、そもそも論的に生物としては、あるまじき発想なのに・・
”狂っている”というしかない。
そして、狂っているからこそ、暴走したのだ。
ならば・・
僕が、大連盟の本部の命令のままに、この世界を破壊したのも、同じではないか・・
そのようなころは以前には、考えもしなかった。だが、今、その結果をこうして目の前にすれば、赤く灼熱する地獄のような惑星のことを思えば、幻魔大王と、いったい何が違うというのか。
「何も、違わないよ。まったく、無茶なことをするものだな、それが、大連盟の”やり口”かよ」
「おまえ・・誰だよ、密航者か」
「ま、そういうことになるかな、ああ、一応名乗っておくと、ドク・タイガーだ」
「猿人系・・のようだが、見た記憶は無いな、どこの恒星系?」
「地球人だが、知らんか」
「地球?知らないな、どこにあるのだ?」
「まあ、いいさ。どこであろうと、わしは、今、ここにいる。それが、肝心だ、違うか」
そういうと、そのサルのようなおっさんは、火をつけた葉を巻いたそれを口にくわえて、その煙を吸い、そして吐き出した。
「まあ、そうだけど」
「乗員百人にも満たない駆逐艦クラスの宇宙船で、ここまで惑星を壊せるなんて、沙汰の限りもほどがあるな、アンドロメダの大連盟というのは。他の銀河系でもこんなものなのかな。これじゃあ、少なくとも下の惑星の住民には、幻魔か大連盟か、区別がつかんのじゃないか」
最初のコメントを投稿しよう!