火球大地

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「今頃気がつくなんて、おめでたい艦長だな」 「僕なんかの下っ端に、幻魔が話しかけてくるなんて、ありえない」 「そう思うか?その下っ端艦長が、ああして見事に惑星一個を壊滅させたじゃないか」 「それは、命令だから・・」 「命令だろうと何だろうと、さ」 「しかし・・」 「わからないか」 「何が」 「あんたは、指折って数えるほどの幻魔を殺すために、惑星一個を壊滅させた、罪人だということさ。あの世界の住人、生命は、これから未来永劫、おまえさんのことを許すまい。お前は、この宇宙が終わっても許されない罪を背負ったのだ」 「そんな、あれは・・大連盟本部の命令で」 「だから、自分は罪人ではない、と?」 「そうだ。大連盟での軍法で、それは保障されている」 「法律的にはな、しかし、殺された下の世界の連中には無縁の話ではないか?」 「それは・・」 「それに、わかっているはずだ」 「何がだ?」 「おまえさんが、わしを見えるのは何故かということだ」 「なぜか、とは」 「そういっちゃなんだが、さすがのわしでも、まだ、わしの超能力レベルでは、肉体を200万光年飛ばすのは、不可能。おまえさんが超能力者だから、わしの姿をこう感知して、話をすることも出来るってことさ」 「僕が、超能力者???冗談はヨシコさんだ。超能力者は、大連盟士官にはなれないようになっている」 「そうではなく、超能力があるのに、それを何らかの方法で押さえつけるだけさ。あの東丈のように、な。まあ、お前さんの場合、お前さんが超能力者だとわかって封印したのではなく、機械的に処方されたことだったようだがな。まあ、それが大連盟らしいといえば、まさに」 「???」 「ふん、とにかくよ、お前さんは超能力者なのさ、それなりに力のある、な」 「だから・・」 「ううむ。おまえさんは、犬系の知性体だよな」 「そうだ、見てのとおり」 「おまえさんの一族の先輩にフロイあの”神の如きもの”フロイの名を持った、超能力者がいなかったか?あの戦士ベガの同僚だったやつだが」 「知らない・・というか、僕の世界では、確かに昔は、超能力にはもっと寛容で、大連盟の超能力者部隊に参加する人間もいたらしいとは聞いたことがある。そして、その中で一番の超能力の持ち主が、”フロイ”のあだ名をもっていたことも・・しかし、それも昔の話だ。まあ、そういう超能力者が出なくなったこともあるけど、以前より、大連盟の超能力者への締め付け、厳しくなってもいるようだ」
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