ともに…

新居

２０１７年９月

ようやく妻と子供と３人での生活が出来るようになった。
子供が産まれてから、実に半年。
子供の目はとっくに開いているので、私を父親だと認識してくれるか心配だ。
それに、耳も聞こえている。
理解はしていなくとも、声で誰だか判別は出来るらしい。
私は毎週末しかいなかったので、近所のおじさん程度に思われているのかも知れない。

とはいえ、これからはずっと一緒にいれるのだ。
私が父親である事を認識させなければならない。

引越しは順調に終わった。
以前と同じように、私はパンツまで汗で濡れていた。
今回は私が１人でほとんどの荷物を運んだ。
もちろん、妻も手伝ってくれたのだが、なにしろ左足が悪い。
軽いものだけ運んでもらった。

この家は風通りが驚くほど良い。
１週間前にエアコンをつけたのだが、設置にやってきた業者の人が驚いていた。
『１階でこんなに風通りが良い家って他にないですよ！これだけ風が吹けば、春や秋は気持ち良いでしょうね。僕もこんな家に住みたいです』
と言っていた。
お世辞や営業トークだったとしても、悪い気分ではない。

エアコンをつけて部屋を涼しくし、布団を敷いて子供を寝かせる。
私は冷蔵庫や洗濯機やテレビを設置し、なんとか引越しは完了した。

後日、隣の家と上の階の人に挨拶を済ませ、やっと親子３人での生活がスタートした。
私は慣れない子育てに奮闘し、妻の容態を見ていく事になるのだが、その生活は想像以上に大変だった。