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南野と会う
病院に妻と娘を連れていくことになった。
母に一緒に行くか尋ねたら、行かないと言った。
母も複雑な気持ちなんだろう。
病院で南野さんに会った。
若い頃の写真と違い、白髪頭で、顔にはしわがあった。
体調がよくないのがわかった。
痩せて辛そうだった。
「はじめまして、中島大和です。、、、」
俺は挨拶をした。
「ああ‥よく来てくれたね、 ありがとう、、」
「こっちは、妻の惠理と娘のまどかです。」
「はじめまして、 こんにちは、何才かな?」
娘のまどかに、聞いた。
「2才 」
まどかは、恥ずかしそうにこたえていた。
「体の具合はどうですか?」
「 ああ‥なんとか生きているよ‥
君には、本当に申し訳ないことをしたと、思っているよ。
知らなかったとは言え、すまなかった。」
「、、、、、、、、」
僕はなにも応えられなかった。
突然、南野さんが咳をした、咳の後、医療用の皿の上に痰を吐いた。
でもそれは、痰ではなく血だった。
咳をするたびに血を吐いていた。
苦しそうだった。
そのたびに俺は背中をさすった。
苦しそうな、南野さんをみて、小さい子を連れての永居は、無理そうなので
僕たちは帰ってきた。
帰りの車の中は、重い空気につつまれた。
俺も暗い気分だった。
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