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「あ、そうだ。そうだよ」
ポンっ、と一拍。
「マイってさ。本、好きじゃん?」
「うん、まぁ。人並み……以上には」
「でしょ。だったら、本屋とか図書館とか、そういうところで何か選んでみれば良いんじゃないの? 飲食店とかコンビニとかよりは応対する回数って少なそうだし」
書店での風景を少し思い出してみる。
裏側での仕事のことは流石に解らないが、表立って見えてる仕事内容は重労働そうではあるが、ガチガチに時間制限が設けられているようにはあまり思えなかった。
お客さんの欲しい本がどこにあるか訊ねられる程度ならば大丈夫だった。
何せ、近場の書店の書架配置に関してはすべて網羅できている。
その辺りは、生半可なバイト店員よりは知っている自信はある。
「……アリかも、それ」
「そうと決まれば、ほら。検索検索!」
ヒカルはスマホを取り出して、バイトアプリを使ってのお仕事検索を始める。もう既に入れてある辺りがヒカルらしい。
場所や業種などをパッパと入力していく。
場所は大学の近くであれば申し分なし、業種はそれこそ慌ただしくなさそうな系統で。
「時間は? 夜勤可か不可か、くらいでいいけど」
「あー……。じゃあ、不可で。22時くらいまでだったら全然オッケー」
「りょ」
画面を凝視したまま猛然と入力。
間もなくして「よしっ」の一声。エンターキーがタップされたらしい。
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