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母さんが
「なーなー。山宮って、女子と仲悪いの?」
電話の件から数日後、その日の授業が終わってから唐突に早川くんに聞かれた。
ぎくりとする。
「別に。強いて言えば、女子より男子と話してるほうが楽だけど。早川くんとか。話しやすいし。」
雨が朝より強くなった気がする。
バタバタと窓に雨が打ち付けた。
「そっかー。でもさ、なんか居心地わるいのかなーって思ってさ。女子とも仲よくした方がいいんじゃねー?って思ってさ。」
バダバタバタバタ
頭の中に雨音が響く。
「何にも知らないくせに、好い人ぶらないでよね!」
私は荷物をもって教室から飛び出て行った。
あめあめ 降れ降れ
母さんが
続きはなんだっけ。
もの凄いスピードで駐輪場までの坂をかけ降りる。
じゃのめで おむかえ
あ、そうだ。歌では母さんが迎えに来てくれるのだ。でも仕事の帰りが遅い母親が、高校にもなる私を迎えに来てくれるはずがない。
気がつけば私は目から涙をぽろぽろこぼしていた。
傘がないのは便利だ。
泣いていても気がつかれることはないから。
ああもっと こんなに苦しむことなく
人生を進んで行くことができたらいいのに
私は自分の性格を呪った。
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