じゃのめでおむかえ うれしいな

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じゃのめでおむかえ うれしいな

荷物をくくっていると バタバタと昇降口から誰かがかけ降りてきた。 「早川くん。」 こんな泣き顔見られたくなかった。 「泣いてるの?」 「泣いてない!雨よ雨!」 早川くんは鞄からごそごそとタオルを取り出すと、私の頭の上にぽんとタオルをおいた。 「そっかー。傘、持ってきてやれば良かったな。」 タオルでごしごしと髪の毛の水滴を拭く。 動作はがさつなのに、なんだか心があったかくなる。 「ごめんな。」 早川くんはほんとは悪くない。そんなこと私はよくわかっているのだ。 「ぐすっ。」 「ばかー!!!優しい!!」 早川くんの胸板をぽかぽか叩く 「泣いててもいいけど、今度雨で濡れそうになったら、ちゃんと俺が傘さしてあげるから。」 「その言葉は、くさいぞ!」 まだまだ雨は降っている。 あめあめ降れ降れ 母さんが じゃのめでおむかえ うれしいな 今度雨が降ったら早川くんに傘をさしてもらおう。 でも早川くんが落ち込んだときは、今度は私がさしてあげよう。 そんな風に不器用に誰かと生きていこうとおもった。 そんな素敵な雨の日も 人生にはあってもよいのだ。 こんな不器用な私でも 誰かの人生に傘がさせますように。 まだ雨が降り続いている空を見上げて 私は神様にお祈りした。
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