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前回正造の家に泊まった日から何かと理由をつけて部屋に遊びに行こうとしたが毎回断られた。
ハッキリとしない理由にイラつきながらも深くは追及しなかった。
「今日こそは逃がさねぇよ。」
正門をくぐって帰るであろう正造を捕まえる。
ビックリした顔をしながらも諦めたかのように笑う姿は大きな男を幼く見せた。
「家になんか食えるもんある?酒とかは…?」
泊まっていく気満々に正造と買いものを済ませる。
家に着くとまずはお風呂を借りて汗を流す。
ベタつく肌が洗い流されて気持ちもスッキリとする。
正造の部屋着を借りてタオルで頭を拭きながらベッドに座る。
気のせいか正造が緊張しているかのように見える。
確かにセフレといっても記憶のない一回しか肌を合わせたことはない。
自分も遊んでるくせにそんな反応されるとこちらまで照れてくる。
正造にもお風呂を勧めたがこれでは本当に体目当てのように感じてくる。
正造がお風呂に入っている間に先に缶ビールを開ける。
買い物中に買い置き用として余分に買った分のお酒を「弱いんだから」と言って何本も棚に返された。
別に俺が特に弱いわけではない。
正造が強いと言うのもあるし飲みなれていないのが原因だ。
特に成人するまで法律厳守して飲んでこなかったわけではないが、やはり成人するまではハメを外すような飲み方をしないように自分でセーブしてきていた。
だから成人してからは自分のペースがまだ把握しきれていなくて度々誰かの世話になることが多かった。
正造がお風呂から出るとボディソープの良い香りが部屋に広がる。
温かい熱気と顔を火照らせた正造の姿。
冷蔵庫から缶ビールを取り出し喉を鳴らしながら飲む姿は妙に色気をまとっていた。
もちろん以前も思ったように正造はタイプではない。
今日だって男友達として騒ぎたいが為に部屋に乗り込んだ。
それでも湯上りで濡れた髪の毛を一つに縛った束から滴が垂れるたびに息を飲んでしまう。
多分色っぽく見えるのはアルコールのせいだろう。
無意識に正造に目を奪われるのが悔しくて急いで二本目の缶ビールに手を伸ばした。
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