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[2]
「橘君!」
名前を呼ばれて振り向く。
数日前、声をかけてきた時と雰囲気が違って最初は誰だか分らなかった。
髪の毛は茶色からピンクアッシュへ。
服はなぜかスーツ。
手には青い花。
「なにそれ。」
単純な疑問が言葉になって口から出る。
「坊主にして来いって言われたけどこっちのが似合うって美容師さんが…。スーツはクリーニング出す前だったから丁度いいかなって…。あとは橘君はバラより青が似合うと思って旬の紫陽花…。」
質問の答えになっているのかなっていないのかよく分からない。
しかし自信なさげに俯き俺を見上げる姿は少し笑えた。
「変な人…。でも俺、タチっすよ。」
俺より背が高く体格もいい。
優男な顔つきでバイならきっとこいつもタチだろう。
体の相性はどうしようもない。
突き放すように言う。
「俺、両方いけるから!!!!」
さっきまでの自信のなさそうな顔とは裏腹に顔を上げ、すがるように言ってくる。
ハズレたか…。
思っていた結果にならず不満に思う。
大学内で面倒を起こしたくなかったので避けてきていたが相手も遊び人ならセフレとしては都合がいかもしれない。
それにしてもバイでどちらもいけるとは何でもありだな。
「じゃあ、こっちきて。」
男の手を引っ張って連れてきたのは大学内では有名なヤリ場だった。
鍵がかかっている場合には使用中、空いていたら使用可。
分かりやすく認知度も高い。
男はすぐにするのかと驚いた顔をしながらも応じて部屋に入る。
「あんたじゃ勃たないから舐めて。」
俺はズボンとパンツを下す。
俺のタイプは俺より小柄で守ってあげたくなるような男だ。
こんな大柄で体格のいい男に迫られても興奮のしようがない。
男は従うように上着を脱いで、ひざまずき俺のモノを口に含む。
先を舐めたかと思うと一気に喉奥まで深く咥えこむ。
喉奥に当たる感覚と口内の温かさやザラつく舌が敏感な所を刺激する。
男は一気に反応する俺のモノを咥えながら得意そうに見上げる。
「さすがに遊んでるだけあって上手いじゃん。」
褒めるように男の頬を撫でる。
十分に反応した所で男を立たせ後ろを向かせズボンを下す。
あらわになったお尻を慣らすこともせずに自分のモノをあてがう。
「遊んでんなら慣らさなくても平気でしょ。あんたの唾液で入るんじゃない?」
男のシャツを掴み無理やりに押し込もうとすると嫌な記憶がフラッシュバックする。
男が何か言っているような気もするが気にしていられない。
口元に手を当てる。
「気持ち…悪っ…。」
手で抑え込むようにしたが手から溢れて目の前の男の背中に腹から込み上げたものを吐き出した。
「大丈夫!!?」
怒るでも驚くでもなく男は俺を心配してきた。
まだ込み上げる気持ち悪さにえずきながら背中を擦られた。
「ちょっと待ってて。」
そう言い残してシャツを脱ぎ捨て、上半身裸のまま部屋を飛び出した男は姿を消した。
もしかしたら帰ってこないかもしれないと心のどこかで思っていたが、まだ込み上げる吐き気を飲み込みながら男を待った。
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