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[2]
駿君の好きな人が男だと知ったのは私が高校二年生の時だった。
良く遊びに来る私のクラスメイトと何を話しているのかが気になって部屋の扉の隙間から中を覗いたのだ。
少し開いた扉の隙間からは私が誕生日プレゼントであげた香水の香りがしていた。
駿君が高校に入ったばかりの誕生日で少し背伸びをした香水をプレゼントしたのだ。
それから駿君は気に入ってくれたのか同じ香水を使い続けてくれていた。
私は自分が選んだ香水を使い続けてくれている駿君が大好きだった。
私の物と言いふらしながら歩いてくれているようで、マーキングしたようで。
そんな部屋でクラスメイトの水野と駿君はキスをしていた。
私はただ動けなかった。
ただ心臓がドクドクと音を立てていた。
もしかしたら動きたくなかったのかもしれない。
普通駿君のキスしているところなんて見れるものではないのだから。
お互い愛おしそうにキスを繰り返して駿君が積極的に水野のシャツを脱がしていた。
上半身をまさぐられて気持ちよさそうな声を上げる水野。
その反応を見て興奮している男の顔をした駿君。
そんな顔私に見せてくれたことない…。
その後二人は私に気が付くことも無くお互いの男の部分を握り合っていた。
私は気づかれないように扉を閉めた。
自分の部屋に戻ってベッドに飛び込むと隣から声が聞こえてくるような気がしてくる。
水野に触られて気持ちよさそうに目を瞑った駿君を思い出すとジンジンと下半身がうずいた。
その日初めて私は自慰行為という物をした。
ベッドに駿君と同じ香りの香水を振りかけると駿君がすぐそばにいるような気がした。
駿君を汚してしまうような気がして今までした事がなかったのだが、あんな駿君を目の当りにしたら、うずきを止められなかったのだ。
駿君が水野にするように私に優しくキスをする。
恥ずかしがる私を大切そうに抱きしめて体を愛撫する。
そんな想像だけでこんなにも体が反応するものだとは思わなかった。
気持ちよさそうな駿君の顔が頭をよぎる。
本当ならば私が駿君を気持ちよくしてあげたかった。
私だけにあんな表情を見せてほしかった。
私は今まで触れたことのない場所に指を這わせた。
壁の向こうにいる駿君に全てばれているかのような背徳感が襲って初めての絶頂を迎えた。
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