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 あれから駿君は水野の事を忘れるかのように勉強していた。 睡眠時間を削ってご飯もまともに食べる事なく自分の部屋にこもってはひたすら勉強していた。 時折駿君の部屋から声を押し殺して泣く声が聞こえてきた。 耳を塞いでもあの日聞いた駿君の泣き声が頭から離れなかった。 私が望んだことなのにこんなにも辛いのはなぜなのだろうか。 駿君が私を頼って泣きついてきてでもすれば私は満足するのだろうか。 私は駿君が部屋から出ているのを見るといつも以上に傍に寄った。 駿君が求めている体温とは違うかもしれないが私が傍に居ることを忘れないでいてほしかった。 息抜きと言っては恐い映画を一緒に見た。 そんな夜は恐くて眠れないと甘えてベッドに潜り込んだ。 よく泣いていた駿君も少しすると落ち着いてきたのか以前の元気を取り戻したかのように見えた。 やり方は少し変わっていても私の温もりで立ち直ってきくれてきたのかと思うと純粋に嬉しかった。  水野は別れてからすぐに駿君の様子を何度も聞きに来た。 振った女に元恋人の事を聞いてくる神経を疑ったがそれほど水野も駿君に対して本気だったのだろう。 それでも信じたのは私の言葉。 最後まで駿君を信じていられたのなら二人の関係は今までと変わっていなかったのだから。  卒業式では遠くから駿君を見つめる水野に気が付いた。 今更駿君の傷をえぐるようなことはしてほしくない。 駿君が気が付かないように誘導すると水野の姿は消えていた。 これで駿君と水野の恋は終わり。 今は辛いかもしれないけどまた新しい恋でもしていい思い出にして欲しい。 あんな若い頃もあったなと笑い話にいつかはできるだろうから。
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