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駿君は大学に入ってからバイトを始めると家にいる時間が少なくなっていた。
バイトが休みの日も外に遊びに行ったりと今まで受験勉強でこもっていたのが嘘のように外出ばかりしていた。
さすがに外で何をしているのか尾行することはできなかったので私も駿君と同じ大学に進学するために勉強した。
元々駿君とは頭の出来が違うので私にとってはハードルが高かった。
それでも別の大学になってしまったら、もっと駿君が離れて行ってしまう気がして怖かったのだ。
一緒の大学に行けると分かった時には安堵した。
水野まで同じ大学に進学するのは予定外だったが、あの時に何もできなかったような男の事なのだからもう心配することも無いだろう。
一年間駿君の傍に居られなかった。
大学に入ってから駿君は人が変わったかのようだった。
何があったのか離れていた時間を早く埋めてしまいたかった。
大学に入ると駿君の噂をすぐに耳にすることになった。
ゲイだと。
駿君自体がそう公言しているとの事だった。
私は胸が痛んだ。
ただでさえ兄妹として生まれてしまったのに今度は女であることさえも恨まなければいけないのか。
水野が特別だったわけでなく元から男が好きだったなんて…。
私は今まで傍に居たのにそんなことも気が付かなかったのかと腰が抜けそうだった。
それでも私はこの思いを止める気などなかった。
水野の時と同じように駿君に近づく男は排除していこう。
一生兄妹の関係でもいい。
それで隣に居られるのなら。
駿君の隣を歩く男がいる時を狙っては駿君に声をかけた。
駿君は少し鬱陶しそうにしながらも毎回紹介してくれた。
駿君の事をどう思っているかなんて分からなかったが駿君の隣を歩く男は全員敵だと思うようにした。
可愛らしい女の子を演じて挨拶をする。
腰を曲げてサラリと肩を滑る髪。
頭を上げて上目使いに見上げニコリと笑いかけた。
これは宣戦布告。
あなたに駿君は渡さない…。
---総合編へ続く---
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