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怜奈の予感
怜奈は暫し賢士を見つめ、『恋のリベンジ』サイトのメンバーの想いを胸に激らせて、遂に恨みを晴らす時が来たと腕を組んで焦らす。
「そーね。一年間に満たない付き合いだったけど、ケンジが私を含めて別れた女性たちに感謝しているのなら、その女性を教えてあげてもいいわよ」
「もちろん七人の女性全員に感謝している。僕にとってその期間は、人生の宝物としてここに残っているからね」
賢士は自分と怜奈の左胸を指差し、細くて長い指を小さな胸に向けられた怜奈は『キュン』として、心に点った火種を慌てて吹き消した。
「クールなケンジが逢うの嫌がるの知ってたけどさ。桜の花びらが空から舞い降りて、ケンジと話す勇気をもらったの」
怜奈はほてった頬を膨らませ、唇を突き出して親指を下に向け、散った筈の桜の花びらが風に吹かれて円を描き、艶やかなピンクの絨毯を敷き詰めるのを披露した。
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