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「俺は、平凡な人生に憧れるけどな」
「・・・え?」
隣の男の人の言葉を頭の中で繰り返す。
刺激がないと言われてふられたわたしにはびっくりする言葉だった。
「そ、そんなこと言ってー、実際にわたしみたいな平凡な女と付き合ったらすぐに飽きちゃうよ」
「そんなことないよ、刺激って一概に浮気とかそうゆう類じゃないと思うけどな。彼女の寝顔が不細工だったりとか、彼女のお酒呑んだ時の酔っぱらい方がひどかったとか。そんな日常的なことも俺にとっては刺激的になるけど」
「なんか、彼氏には知られたくないことばっかりかも・・・」
「そうやって、素の自分を隠してるから日常が平凡に感じて1日1日がルーティンになっちゃうんだよ。それで、男は日常とは違う刺激を求めて浮気に走る・・・そんな感じじゃない?」
ふわっとした笑顔で言われた言葉は確かに納得ができた。
裕樹の前では、嫌われたくなくてドジしないように料理とか掃除も完璧にしようとしてたかも。裕樹隣にいた女は一瞬しか見なかったけど、甘えたりするのが上手そうな人だったな・・・。ピンクのヒール履いてたし。
「まぁ、どんな理由にしろ浮気した男が全面的に悪いと思うけど」
そう言って、優しく頭を叩かれた。これは慰めてくれてるのかな。
こんな見ず知らずの男の人に慰めてもらうなんて、情けないようなありがたような。
頭に置かれた手が優しくて、じんわりあったかくて涙が頬を伝った。
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