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リップの伝言。バーカ。
「足崩してよ」
机を挟んだ向かい側に、さっきまで一緒にベッドで寝ていた男の人がいる。
わたしは、ゴミ箱を見た後周りに散らばった洋服をかき集めて布団でガードしながら洋服を着た。
もう全部見た仲なんだから隠す必要ないのに、っていう言葉は聞こえなかったことにしよう。
「美鈴さん、いくところないんでしょ?」
「・・・昨日私が言ったことはすべて忘れてください」
「無理」
「だって!わたしあなたの名前とか知らないし!」
「昨日言ったはずなのに覚えてないの?」
「だって、昨日は結構呑んでたし起きたらここだったから・・・」
自分で言うのも情けない。
普段お酒を呑んでも滅多に記憶がなくならいはずなのに、昨日はやっぱり堪えてたんだ。裕樹のこととかこれからどうしよう・・・。
そんな不安を抱いているわたしに男の人は座っていた場所からわたしのそばに正座で座りなおした。
「俺の名前は、東月 蓮(トウヅキ レン)。21歳、職業は俳優やってます」
「21歳!?!」
しまった・・・。21歳なんて26歳のわたしより全然若いじゃん。
そんな男の子にわたしは手を出してしまったのか・・・、いや、出された?
ん?ちょっと待って・・・
「俳優!?」
「そうだよ」
東月 蓮くんはにっこりと笑った。
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