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「・・・わたしは、刺激的なことがなくたって裕樹と一緒にいるだけで楽しかったんだけどね」
わたしの口からは素直な言葉しかでてこなくて、皮肉にも震えているのがわかるぐらい情けない声だった。
裕樹の隣にいる女と目があってその女が笑ったような気がした。
わたしは、静かに掴んでいた布団を離して玄関からでた。
玄関で見た女の靴は、わたしのぺったんこなヒールがない靴とはちがってかわいらしい色のヒールの靴でそれを見てとても情けなくなった。
どこも行く当てもなく、実家は飛行機の距離だし突然家に泊めてくれる友達がいるわけでもない。最初は、ファミレスでただぼーっとしていたけど、夜中の12時を回るとさすがに長居しすぎたなと思い、場所を変えた。
家から数キロ離れた公園でコンビニで買ったお酒とつまみでこれからどうしようかと考えていた。
ネカフェやビジネスホテルに泊まりに行かなかったのは、裕樹が追いかけてきてくれたらいいなという希望があったからだと思う。
そんなことを思いながら、もう夜中の4時を過ぎていた。
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