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ゴミを纏めてその場から立ち去ろうとベンチから立ち上がったが、普段お酒はゆっくりと楽しく呑むわたしの体は情けない気持ちから煽るように呑んでしまっていたから少しふらついてしまった。
「お姉さん酔ってるでしょ」
ふらついたわたしの体を謎の男が支えてくれた。
意外にも筋肉がついている腕に裕樹のことを思い出してしまう。階段でふらついてくれたときや道端ですれ違う人にぶつかりそうなとき支えてくれた裕樹の腕を思い出してしまった。
「大丈夫?なんか泣きそうな顔してるけど」
「大丈夫です。離してください」
「さっき仕事終わったばかりで今日は俺も疲れてるんだよねー。お姉さんに付き合ってあげよっか?」
そう言って、男が持っていたコンビニの袋から缶酎ハイがでてきた。
缶酎ハイを見てぽかんとしてしまう。この人も仕事で嫌なことがあってコンビニにお酒を買ってきたんだろうか。
知らない男の人とはいえこんな真夜中に女の人が一人で公園で酒を煽っているのを見かけてしまったから心配してくれたのかな。
見ず知らずの人に心配をかけてしまった申し訳なさに大人しくベンチに座りなおした。
男も先ほどの距離を開けたまま座りなおす。
隣で缶を開ける音が聞こえた。
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