傘がないから

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6月19日 県立城北高校 曇り 高校3年になって一番の楽しみは日本史の授業だ。 どの科目にするか本気で考えたけど、あの時の選択は私の人生で最高だったと思う。 センター試験でいい結果が出るとか、もうどうでもいい。 私達は理系だから物理と化学と生物は必修だ。 なぜか日本史だけはクラスを超えて合同クラスだった。 5時間目の授業開始を待つ教室で3列隣にいた大きい男の人が、長い手足をゆらりと揺らして立ち上がって話し掛けながらこちらに歩いて来た。超絶イケメンだ。 「 松下さんも日本史とったの?」 ( えっ、誰?キラキラ光って見える。 長い手足、茶色のサラサラの髪の毛、ぱっちり二重の大きい目、男子クラスの人達が見てるみたいだけど。) 私は理系だからクラスの女子は10人だ。 しかも理系には男子だけのクラスがある。 私がキョトンとしてると、 「 僕だよ。 須田春馬。1年の時同じクラスだったでしょう? 2年、3年は男子クラスだけどね。」
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