0人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
ー現在
「海岬(みさき)ちゃんが一人暮らしなんて心配だわぁ。
だめよ。やっぱりおばちゃんと住みましょ。」
大人は、時に残酷だ。
心にもない事をホイホイと口にする。
「伯母さん。大丈夫です。だって、みんな…家族が見守ってますから、」
「そうよね。まーくんも、ゆーちゃんもみんな、あなたの事、見守ってるわ。」
時に子供も、自分を守るため嘘をつく。
「それに、伯母さんとは、学校でも会えますよ。」
「あらぁ、こんな伯母さんとは、一日中は一緒にいられないって?」
そんな冗談を言って、甲高い笑い声をあげた。
伯母は、父が所有していた学校を相続した。
だから、こんなガキの世話をする。
「じゃ、ちゃんと『はやね、はよおき、』」
『別れ際は手短に』その手本を伯母はやってのける。
「わかってるわよね?」
念押しするかのように私の目を見て強く言った。
「はい」と適当に返事をして私は、彼のことで頭がいっぱいだった。
おばが帰ると同時に私は、家を飛び出した。
最初のコメントを投稿しよう!