ブラッドレイン

(19)西風

愛するレイモンド

こんにちはレイモンド。
貴方がこの手紙を読んでいるということは、もう僕は死んでいるんだろうね。
何故ならこのメッセージは、僕が死んだら君に届くようになっているから。
僕はパパに殺されたのかな？
それとも貴方に？
できれば貴方が良いな。
最期に見るのは貴方が良い。
レイモンド。
レイモンド・ブラック。
ありがとう。
僕をクラウド・グレースカイとして見てくれて。
とても嬉しかったよ。
とてもとても。
パパはママとしか、クラウディア・グレースカイとしか見てくれなかったし。
先生やクラスメイトは、ママのように振る舞う僕を見ようとしなかったし。
ゴーストだった僕をクラウド・グレースカイとして見てくれたのは貴方だけだった。
唯一だった。
一番だった。
僕は貴方の一番だったかな。
一番なら嬉しい。
ふふ。
ああ。
西風が吹いてきた。
雨が降るね。
レイモンド。
傘を忘れてない？
もし忘れていたら届けに行くよ。
貴方が願うなら。
例え死んでも。
例え地獄でも。

貴方のクラウドより