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(1)ブラッドレイン
親愛なるクラウドへ
やあクラウド。
先日は傘を貸してくれてありがとう。
おかげで雨に濡れないで家に帰れたよ。
しかし驚いた。
まさか小学生の君が、路地裏に座り込んだ見ず知らずの男に傘を貸すなんてね。
私のレインコートと長靴についた血が見えていないはずないのに。
私が怪我なんてしていないことを知っていたのに。
見た目によらず勇敢なんだね。
そして優しい。
頭もいい。
救急車も警察も呼ばなかったということは。
きっと君は私が誰かわかっていたんだろうね。
雨の日の連続殺人鬼ブラッドレイン、と。
素晴らしい。
素晴らしいよクラウド!
感動のあまり、つい君のことを調べてしまったよ。
クラウド・グレースカイ。
十月十日生まれのAB型。
十歳。
趣味は読書と畑を耕すこと。
ホロウ川沿いにある青い屋根の家でパパと二人暮らし。
友達はいない。
ふふ。
あっているだろう?
私は有能なんだ。
警察も捕まえられないくらいね。
はは!
ねえクラウド。
本当はね。
私を見た君を口封じのために殺すのが正しいんだ。
でも私は君を殺したくない。
何故なら私は君を気に入ってしまったからね。
だから。
君が私のことを警察に言わないのなら。
私は君の友達になろう。
親友になろう。
そして秘密の文通をしよう。
皆に秘密にすることで、私と君の絆はより深いものになる。
適切な距離をはかり、姿が見えない相手を思うことで私と君の関係はより尊いものになる。
私は君の一番で、君は私の一番だ。
今の君が一番求めているものだ。
ナイスアイディアだろう?
宛先は下に書いてある住所に送って欲しい。
もし警察に言ったら、君の大事なパパを殺すよ。
よろしくね。
私のクラウド。
君の親友ブラッドレインより
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