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白亜の城 prologue
コツ、コツ、コツと刻を音が聞こえる。
あといくら時を刻めば、どれくらい息を潜めていればいいのだろう。もはや時を正確に刻まなくなったここでは、時計の針の音など無意味だ。いくら時が過ぎようと朝は来ない。空はずっと暗いままで、昔のような鳥のさえずりや人々の喧騒もなくなった。
永い永い冬が来たのだ。
身体を小さく縮こませて、その冬が過ぎ去るのをひたすら待ち続けた。
どうしてこうなったのか。
なんでこの国はこんなことになったのか。
考えても何一つとしてわからなかった。ただ、わかっていたのは見つかったら終わりだということ。
だから、自分が隠れている貯蔵庫の扉が開かないようにとただ祈り続けることしかできなかった。
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