小説の時間・1

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小説の時間・1

前回は「場所・舞台」について書きました。 今回はもう一つ大切な「時間」について、少し書いてみたいと思います。 まずは場所と同じように情報としての「時間」について。 5W1Hの項でも書きましたが、今読んでいる場面が一体「いつの出来事なのか」というのは、常に書いておく必要はないけれども、読者が分からなくならない程度にはフォローしておかないといけない情報です。 ただ「時間」とは言っても、それが表現するものは意外と多くの概念になります。 例えば「何時何分」という、時計で確認できる「時刻」そのもの。 例えば「何月何日」という、カレンダーなどで確認できる「月日」。 あるいは「何年」というもっと大きな単位のものや、 そこから派生する「時代」であったり、 日本に限らず存在するその国や地域なりの「季節」であったり。 もっと大雑把に一日の中の「朝昼夕夜」といったものであったり。 これらに代表される「時間」という情報は、はっきり書く必要がある場合と、大まかで良い(明確に書く必要のない)場合があります。 特に前者、はっきりさせておかなければならないというのは、ミステリや、そういった要素を含む「その時間(年、月日、時刻等)が物語の中で重要なポイントとなる」場合です。 これは何か事件が起きた日付であったり、大事な約束の日であったり、 一度提示しておいて、後でまた使ったりする場合には、日付等が明確になっていた方が良い、ということです。 何でも具体的な方が良い、という訳ではありませんが、 数年前の出来事と、 二年前の出来事では、 やはり印象が異なります。 本来は、はっきりしているはずのものをわざと曖昧にしておく、というのは、それはそれで意味がありますが、 はっきりしているのに曖昧なまま書いてしまうというのは、作品そのものの印象もぼんやりとさせかねません。 また、時間も場所と同じように、使い方によってその場面をうまく(いろど)ることができます。 ただ物思いに(ふけ)っているよりは、 夜、星空を見ながらだったり、 夕暮れていく街並みに思いを馳せたり、 朝、白みゆく山の稜線に何か祈ったり、 考えている行動の背景としての時間(帯)というものを書き込んでおくと、より読者に深く想像してもらいやすくなります。 それから、実際の小説の文章の中に時間情報を書き込むことも大切ですが、 時間というのはプロットのようなものを考えた場合でも、非常に重要なポイントとなります。 プロットでは「出来事」を書くと良いと、書きました。 出来事というのは、常に「時間」を伴っています。 (場所も伴いますが、ピンポイントではなく広範囲に及ぶ場合もありますね) つまり、プロット作成時に、そこに書き込む出来事には大雑把でもいいので、何かしら時間情報を書き込んでおくと、実際の執筆時にも大いに役立つし、イメージも広がりやすくなります。 出来事に「時間」と「場所」は不可欠と覚えておいて下さい。 また、作品の中で「時間情報」をちゃんと扱っておくことは、何も場面などに具体性を持たせること以上に、大切なものとなります。 次回の「小説の時間・2」では、小説の中で流れる時間について説明します。
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