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最後に物騒な事をさらりと付け加えられ、さしもの玲那も少々怯んでしまう。
「…そりゃ、確かに恵まれてるなとは思ってるよ」
玲那は言葉を選びつつ、重い口を開く。
そんな事は他人にとやかく言われるまでもなかった。
そんなのは初めから、自分でよく分かっていた。
隣県の大学を出て。
地元に戻って一般企業の受付をしてた。
取り立てて秀でた何かがあるわけでもない、極々普通のどこにでもいるOL。
社会人になって三年目の夏。
いつもよりも多めのボーナスに嬉しくなって、思い切って初めての一人旅に出た。
ドラマだと、よくこういう時に『素敵な出逢い』があったりするよね-そんな浅はかな考えが頭の片隅になかったと言えば嘘になるが、実際期待してたのはほんの1%ほど。
夏季休暇に有給をプラスしての、久し振りの大型連休。
いつかは行ってみたいと思っていた、日本有数の避暑地。
好きな所に行って、好きな物を食べて、普段なら躊躇してしまう高級ホテルや旅館にも泊まって-これから始まる旅に、胸踊らせていた。
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