コイビトイミテーション

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◆◇◆ 「っ!?・・・・・・はあ、ぜえ、ぜえ。」 速度も低下してへたれな僕は今にも倒れてしまいそうだ。 男だから強いとかそんなレッテル張られても困る。 僕は普通より弱いし、まだ座学の方が向いている。 とはいえ、ここで弱音を吐いたところで何も変わりやしない。 ......!?ついたけど、やっぱり告白現場だった。それも途中から。 「ごめんなさい。」 「・・・・・・。」 真顔のまま頭を下げて翼先輩は断る。 無言のままふらふらと立ち去った例の男子生徒。 なんだか自分の結果も目に見えてきた。 ......きっと僕もああなるんだろうな。 影から見ているだけじゃ変わらないってわかってても無理なんだよな。 「あんた、何してんの?」 「!?」 声にならない。身体がびくついた。 僕は影から背を向けていたら当の本人が後ろから声をかけた。 咄嗟に振り返ると翼先輩は僕を見上げていて小さく可愛い容貌でそんなことを言われたらぐらついてしまいそうだ。 しかも間近で見ると睫毛は長いし足も綺麗だし全てが手入れをされていて欠点がない。 「・・・・・・もしかして冷やかし?」 見惚れていると不意にそんなことを言われて必死に横に振った。 「そう。なら、さっきの子の応援とか?」 さっきの子って知りもしない男子生徒!? そんな訳ない。僕は必死に横に振った。 「じゃあ、なんだって言うのよ?」 「あ、えっと・・・・・・す、好きなんです!翼先輩のことが!」 切腹をする勢いで顔を真っ赤にさせて打ち明けた。 こんな順番じゃなかったけど今更仕方ないし、どうせ告白するなら今しかない。 決意して僕は翼先輩の目を見て言った。 けどすぐに翼先輩は頭を下げた。 「ごめんなさい。」 「で、ですよね・・・・・・。」 思っていた通りに断られた。 確かにそれはその通りだと思うけど、ここまであっさりと潔く謝られると何も言えない。 これで清々しく諦められたらいいんだろうな......。 凹むよりも予想と同じで笑うしかなかった。 僕は精一杯の笑顔を向けた。 「・・・・・・初めて会ったくせに告白なんかしてごめんなさい。入学式の時に一目惚れしました。綺麗な人だなって、その程度だったのに、どんどん好きになってました。フラれるのはわかってたので大丈夫です。・・・・・・ありがとうございました!」 僕も頭を下げて笑い、その場を立ち去ろうとした。 もう翼先輩を見ないように。見てしまったら泣いてしまいそうだ。 脆く崩れた恋は忘れるしかない。 振り返らずに必死に涙を溢さないよう、唇を噛んだ。 翼先輩に背を向けて歩く。 すると、いきなり手を引っ張られた。 グン。 「あ。待って!・・・っ私と付き合わない?」
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