コイビトイミテーション

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◆◇◆ 「それで、話ってなんだ?」 放課後に大輝先輩を呼び出してしまった。 もう誰もいなくなった僕の教室で向かい合って座っている。 大輝先輩は頬杖をついて僕を見てくる。 外は夕暮れ時で部活に勤しむ生徒や下校中の生徒、時々通り過ぎる先生だけ。 大輝先輩は男子バスケットボール部なのに、僕なんかのためにわざわざ休んでしまったらしい。 「・・・・・・あの、本当に部活休んでよかったんですか?」 「ああ、大丈夫だ。」 「いや僕なんかのためならもっと有効活用してください!」 「はあ?お前が話があるって言うからだろ。」 「うっ・・・・・・。そうなんですけど。」 大輝先輩はとても優しい。 ありがたいんだけど、いいのかな。 けど、僕は少しきょろきょろと目線をさ迷わせていた。 迷惑になっていないか不安だ。 「まひろって臆病者なんだよな、そんなだと一生彼女つくれねえぞ?」 「っ!?・・・・・・。」 ガク......。 「え、あ、マジで?」 僕は机に突っ伏してがくりと肩を落とした。 彼女がつくれないってことは翼先輩も諦めろってこと? 無理だ、死ねと言っているようなものだ。 大輝先輩は図星だったか、と言って呆れた様子だ。 「ぐすっ、知ってます。・・・僕じゃ駄目だってことぐらい・・・・・・。」 「あああ!泣くな、違う、そういう意味じゃないからな・・・!」 僕が縮こまって悟ると、大輝先輩は慌てて立ち上がり言い直した。 大輝先輩は苦笑いしながら宥めてくれた。 「・・・・・・で、なんなんだよ。」 「・・・・・・はい?」 大輝先輩は座り直して膝を立てて笑った。 僕は顔を上げて首を傾げた。 「だからお前が言いたかったことだよ。」 「・・・はい。」 大輝先輩は頭をかいて目を逸らした。 僕は一瞬戸惑ったものの、観念して口を継いだ。 翼先輩のことは諦めきれそうにない。 でも、気恥ずかしい気持ちもある。 呼び出した理由はしっかりとあるんだから。
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