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「・・・・・・え?」
「あ、いや、止めるわけじゃねえんだ。でももう、暗くなってるし・・・な?」
大輝先輩は焦り、僕を落ち着かせようと必死に説得した。
僕も我に返りはっと気がついた。
つい、急かしてしまっていた。
つまり大輝先輩が言いたいこともわかる。
「・・・・・・もう帰っちゃいましたか?」
「・・・・・・。」
大輝先輩は何も言わず頷いた。
一気に脱力感に見回れる。
身体中が強張って緊張していたのにゆるりとほどけた。
ずるりとスクールバッグが肩から腕に降りてきた。
それもそうだよね、女の子がこんな時間にいていいわけない。
最近は暗くなるのが早いから尚更だ。
「本当にすまねえな。俺が煽っておいて・・・・・・。」
「あ、いえいえ。僕こそ早とちりしたのが悪いんですよ。」
お互いがかしこまってしまう。
やっぱり何も策の一つも考えないのはおかしいよね。
どうもできないんだろうけどなあ。
「ちなみに、なんで僕が翼先輩を好きな仮定なんですか。」
大輝先輩はずっと僕が翼先輩のことを好きなんだと言う。
さっきだって、「そのことを纓田に言うべきだ。」とか言ってた。
いつから気づいてたのかな?
僕は少しだけ探偵気取りで伺った。
「え?違うのか?」
「っ・・・・・・。」
大輝先輩は不思議そうに聞き返した。
そう言われてしまうと違いますとも言えない。
まさか逆に聞き返されると困るな......。
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