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僕は早速、アストラおじさんの所へ通信を飛ばした。僕達の家には誰もいないはず、親方達が戻っているとも思えない。
なかなか向こうが受信してくれなかった。知らない所からの発信だから、怪しまれていたのかもしれない。
ツー、ツー、と沢山音を聞いた果てにガチャリ、
『もしもし、どなたですか? ドーゾ』
最後に聞いてからまだ1週間くらいしか経ってなかったのに、もうずっと前のような気がする。
信頼の厚いアストラおじさんの声を聞いて、僕は心底安堵したんだ。
「おじさん、僕だよ。サザンです」
『サザン!!』
僕のうわずった声を聞くと、おじさんは歓喜の声を上げた。
その後ろから、アルテとベスタおばさん、そしてなんと、親方とおかみさんの声もあった。
『サザン! 無事なのかい!? シーナは!?
あぁもう、妙な胸騒ぎがして向こうを早く切り上げて戻ってきたら、あんた達の姿が無いから…!
アストラから知る限りの事を聞いて、気が気じゃなかったんだからねぇ…!』
おかみさんがわぁわぁと泣きながら喋るのを、僕とシーナは肩を縮み込ませながら聞いた。
その後で親方が代わり、僕はこれまでの事をかいつまんで話した。
『なるほどなぁ…そういった経緯で、シーナは記憶をなくして俺達と出逢ったんだなぁ』
親方は感慨深げに言った。
『なぁシーナ。
せっかく記憶が戻ったというのに、お前さんの住処の城が焼けちまって…
サザンと一緒に帰ってこい。また皆で今まで通り暮らそうや』
親方のこの言葉に、じいやさんが憤慨した。
「姫様!
漆黒城を、王とお妃と共に過ごされたあの城を、手離すと申されるか…!?
それは、それはなりません、そんな酷な事だけは、どうか…!!」
じいやさんの涙ながらの訴えに、シーナもすっかり同調した。
「うん…私も…お城をあのままにしておけない…」
すると、横からアストラおじさんがひとつ提案をした。
…
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