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〈13〉決着する王女の目線
バリンという派手な音と、私の首がカクンと落ちた振動で、私は意識を取り戻した。
目を開けようとしたらまぶたが上がらない。
自分の頭から口元までに何か滴っていて、唇を少し舐めたら鉄の味がした。
ゼノスに杖で頭を打たれた事を思い出して、私の目を塞いでいるのは血だと分かった。
手で擦ろうとしたけれど、手の自由は奪われているらしい。
さっきは上がらなかったまぶたを、今度は思いきり力を入れて押し上げた。
多分まつ毛と肌がくっついていて、ベリベリと剥がれたような感じがして、それから私の視界ははっきりと周りの景色を映し出した。
ゼノスとガルバが窓の方へ駆け寄って、何やら話している。
「なんだぁ? 今のは」
「ちっ…魔女の処刑をしようという時に…」
窓の一部が小さく貫かれて、そこからパラパラとガラスの屑が落ちていた。
「ゼノス兄ぃ、何かが飛んできたんだぜ。俺ぁ見たぞ」
割れた痕を苦々しげに見つめるゼノスに背を向けて、ガルバはひとり身を屈めて床にキョロキョロと視線をさまよわせた。
そして何かを拾い上げて、またゼノスの方へ振り向いた。
「ほれ、これだ」
ガルバの手には、30cmほどの黒い矢。
「───」
私
あの矢を知っている
丁寧に手入れされるのを何度も見てきた
サザンのだ
そう思った瞬間、バリン! また大きな音が窓からした。
…
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