〈13〉決着する王女の目線

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 まさに矢継ぎ早、何本もの矢が窓を突き破って、ビィンと床に刺さっていく。私の足元にも飛んできた。  どこからそれらが来るのか確認出来ないまま、ゼノスとガルバは矢を避けるのに必死になっていた。 「!!  ゼノス兄ぃ、窓から離れるんだ!!」  ガルバはそう叫んで、ゼノスを腰から軽々持ち上げて横へ飛んだ。  その数秒後、ドォンと地響き付きの破壊音、それから窓の全てのガラスが砕け散って、キラキラと光が反射した。  突っ込んできたのは…白く大きな何か、まさか。アレは、グライダーじゃないのか。  そこからポーンと転がってきた、ボウガンを抱えてよろめきながら体勢を整えて私の方へ駆けてくる、 (サザン!!)  叫ぼうとして、慌てて唇を噛み締めた。今そうしてしまったら、ゼノスとガルバに気付かれてしまう。  二人はグライダーが突っ込んできた衝撃で向こうへ吹き飛ばされて、揉みくちゃに倒れていた。  私の視線の先に気付いてサザンも二人の方を見る…なんて恐いカオをする、サザン。  そして縛り付けられた私を見上げると、今度は泣きそうにカオを歪めた。  どちらの表情のサザンも、私は今まで見た事がなかった。  ふっと短く息を吐くと、サザンは私の後ろに回って、手首に固く縛られている縄を解きにかかった。 「貴様、何者だ!!」  ゼノスの鋭い声が飛び、同時にガルバが巨体を揺らしながらこちらへ走ってきた。  サザンは縄を解けなかった。私の前にまた回ってボウガンを構え、矢を放った。  サザンの矢に翻弄されるゼノスとガルバ、なかなかサザンと私に近づけない。 「シーナに触るなあぁーー!!」  サザンの怒号に、涙が流れそうになった…  サザンが寸前に、私の手に小さなナイフを握らせてくれたから。  ふたりに気付かれないように縄を切らなくては。  私に泣いてる暇は、無い。 …
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