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「あんた達こそ、何なんだ…!?
何故こんな…
シーナを、
この城を、
こんなことにした理由は何なんだ…!?」
奥歯をギリギリと食い縛っていそうな、サザンの怒りに満ちた顔。
それと対極に、ゼノスは不気味なほどに冷笑する。
「くっくっ…
ユリシーナよ、そいつはお前の護衛か…?
こんな小さな…くっくっくっ! 笑わせてくれるではないか」
合いの手でガルバがひーっひと卑下た引き笑いを飛ばす。
そして冷たい眼差しをサザンに向けて、ゼノスは続けた。
「どこの馬の骨か知らぬが…全てはそこの黒い王女に話した…同じ話をする気は毛頭ないのだ…
あるとするならば…
この魔女を火炙りの刑に処そうとしたところを…
お前が割って入ってきて怒り心頭だという事だ!!」
言い終わるや否や、ゼノスは杖の握りの部分を直角に折り曲げた。
すると、そこから炎が勢いよくほとばしって、まるでたいまつのようになった。
私の足回りに藁が沢山積まれて固められていた。ここに火を点けるつもりなんだ。
火はすぐに回るだろう。そうなったら、サザンまで焼け死んでしまう。
サザンお願い、私なんて置いて逃げて。
サザンの背中に叫ぼうとしたその時、
「そんな事させるもんか…」
サザンが低く呟いた。
「ザザの遺志を継ぐんだ、
僕が、
シーナの命を消させはしない…!!」
「───」
サザンあなたは…どこまで知っているの…?
少なくとも…
私とザザが深く関わっている事を、
ザザがもうこの世にはいない事を、
それだけは知ってしまっているんだと…
サザンのその言葉で解って、視界が涙で揺れた。
…後ろ手に縛られた縄が、プツッと音を立てて緩んだ。
…
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