〈13〉決着する王女の目線

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「あぐうぅっ…!」  ゼノスは刺された脚を抱えて、苦しげに床に転げた。  ガルバは言葉を発しない、失神したのだ。  ボウガンを思いきり振り上げた私は、その反動で貧血を起こして、目の前がぐらりと揺れた。 「シー…げほっ、シーナ」  サザンが喉元を押さえながら私へ駆け寄り、手を差し伸べる。  その手を私は取れなかった、腕が上がらない。  サザンは私のすぐ傍まで来ると、着ていたシャツの長袖をビリッと引き裂いて、それを小さく畳んで頭部の出血部に強く宛がった。  もう片方の袖も破って、宛がった布ごと私の頭にきつく巻いた。  単純な処置だけれど、これだけでも私の気は十分に休まった。 「…ぬおぉ、貴様ら、逃さぬぞ…!」  ゼノスが鬼の形相で杖を振り上げた。  が、矢の痛みがまた走ったのか、大きく身体が崩れ落ちて、その拍子に杖がカランと床を打った。  すると先端がポッキリ折れて──そこから炎がぼうっと噴き出した。 「「!!!」」  そしてそれは、床をあっという間に火の海にした。  窓から吹き込んだ風が、私を焼こうと周りに置いていた藁を全て撒き散らしていて、それに火が移ったのだ。  幸いにも私とサザンは風上に、窓を背にしていたので炎が飛んでは来なかった。 「ううう、くそっ、くそっ…! げほげほっ!!」  巻き上がる煙は全てゼノス兄弟の方へ流れて、彼らにすると手も足も出ない状況に追い込んだ。  ゼノスの苦渋たっぷりの声を聞きながら、私ももうだめだ、思った。私にはひとかけらも逃げる力が残っていない…  だけど、サザンがまだ諦めていなかったのだ──  私の脇から手を入れて、肩に私の重みを乗せて、短く言った。 「行くよ。外へ出るんだ」 …
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