〈13〉決着する王女の目線

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 サザンがゆっくり窓に向かうのに合わせて、引きずるように身体を動かした。  全てをサザンに委ねるわけにはいかない、自分の限界ギリギリまで、出来ることはやろうと思った。  窓とグライダーの隙間を縫ってバルコニーに出ると、雨は少しだけ収まっていて、びゅうぅと風が吹き荒れていた。  サザンは一度私から離れて、窓に突っ込んだグライダーをバルコニー側へ引っ張った。  火事の炎がもう窓際まで迫ってきていた。黒煙が勢いよく噴き出して、空へ昇っていく。  サザンはグライダーの錨をバルコニーの柵に引っ掛けて、また私の傍へ戻ってきた。 「シーナ、あっちまで、もう少しがんばれる?」  サザン、あのグライダーで脱出する気なんだ。  でも私。  ここまで来て。サザンにここまで導かれたというのに。  逃げようという気がごっそり抜けた。  グライダーに二人なんて無理、というのもあったけど。  城の炎を見つめ、城の皆、パパも、ザザも、いなくなったというのに私だけ、私だけが生き残っている。  その事がどうしようもなく──嫌だったんだ。 「サザン、  サザンだけでいい、私を置いて。  サザンだけで、このグライダーで遠くへ逃げて…!」  私の頬を冷たい涙が濡らす。  サザンの命だけ助けたくて私はそう叫んだのに。 「ダメ、シーナ、許さないよ、  一緒に行くんだよ」  鋭い言葉のはずなのに、妙に温かみを感じた。  サザンは私をグライダーまで連れていって、命綱を私の胴体に巻きつけた。  それから、力の入らない私の両腕をサザンの腰に抱きつかせ、そこにさらに命綱を巻いた。  サザンは両手でバーを掴み、グライダーを持ち上げた。  びゅうぅっ。  バサバサバサ。  風を受けて翼がはためいた。  一等の強風が駆け抜けた時、サザンが足で錨を蹴飛ばした。  私の予想に反して、グライダーは私達ごと軽々と空へ舞い上がった。  あの日の旅立ちの瞬間を思い出す。  今度は一人じゃない。  そう思ったら、サザンの腰にしがみつく力が少しだけ蘇った。 …
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