〈終〉新たな日々の少年の目線

1/11
前へ
/126ページ
次へ

〈終〉新たな日々の少年の目線

 その後のシーナと僕は。  涙が枯れたと同時に雨も上がったのだけど、僕達はいつまでも立てないでいた。  でも、シーナの頭をずっと抱えたままなのがたまらなく恥ずかしくなって、パッと両腕の力を分散させた。  自分の身体を預けていたものが急になくなって、シーナは不思議そうな顔をして僕を見上げる。  その拍子に僕の腰を巻き付けるシーナの腕も、スルッと抜けた。  今、ちょっと、シーナに顔を見られたくない。  そう思って視線をずらそうとしたその時、 「…姫様? 姫様なのですか…!?」  しゃがれた男の声がどこからか飛んで、シーナと一緒にキョロキョロすると、外壁沿いの垣根から老人と、若い女の人と、中年の男が2、3人、こぞって出てきたのだ。 「あ…じいや…? イオも…」  シーナの精魂尽きた声を聞くなり、 「姫様あーー!」  二人は涙ぐみながらシーナに飛びついて、僕を突き飛ばした。 「はっは、大丈夫か坊主?」  軽く吹っ飛んだ僕は、連れの男のひとりに背中から支えられた。  それに気付いた、イオと呼ばれた女の人がごめんなさいと慌て、僕とシーナを交互に見て言った。 「…こちらの坊やは…?」 「サザン…  ザザの弟よ…  ずっと、お世話になってた…」  この言葉を聞いて、シーナは全てを思い出したんだと悟った。 …
/126ページ

最初のコメントを投稿しよう!

80人が本棚に入れています
本棚に追加