〈終〉新たな日々の少年の目線

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 僕とシーナは、じいやさんとイオさんもお世話になっているというお宅に滞在する運びとなった。  そこはイオさんの傍からずっと離れない男──ヘクトルさんの家で、聞けばイオさんとヘクトルさんはいい仲らしい。  おじゃまじゃないのかなと思いつつも、僕もシーナも満身創痍だから、クルーの村の人達のご厚意にすっかり甘えた。  数日間、傷が癒えるのを待ちながら、僕とシーナは離れていた間の事を細かに報告し合った。  シーナは…家の前で連れ去られた時の事、お城で意識を戻して、ゼノスから聞いた城での悲惨な話、徐々に思い出される失われた記憶、シーナが旅立ったあの日の事、ねえさんとのやりとりを…  僕は…家に取り残されていたねえさんの手紙の事、森の中で出逢ったおばあさんの事、おばあさんから聞いたお城の歴史、ゼノス兄弟の事、お城の隠し部屋で見つけた日記と絵の事を…  この時も、二人してぐしぐしと涙を流しながらだったんだけれど、あの時みたいに抱きしめながらではなかった。  僕達はいくらか冷静にこれまでの事を振り返られたんだと思う。  そしてふと、シーナが思い出したようにつぶやいた。 「…昔、パパから出向いてママを迎えに行って、一緒に城に住むようになったって聞いた…  パパの…秘密の抜け道だったのかなぁ…」  そうなんだろう、と僕も思った。  じいやさんとイオさんをこの抜け道に導いたのが、シーナのお父さんだという事に繋がるじゃないか。  しばらくして、僕はこの家に通信機がある事を知る。  何で今まで気付かなかったんだろう、僕は興奮してヘクトルさんに言った。 「ヘクトルさん、この通信機、使わせてもらってもいいですか?  連絡をしたい人がいるんです」  この言葉にヘクトルさんはすごく驚いていた。  海の向こうから取り寄せたこの万能な機械の事を、どうしてこんな子供が知っているのか。 「いいけど…番号とか、分かるのかい」 「はい。二つほど、知ってるんで」 …
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