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   会社側からの弁護士の素早い対応もあって、いったん釈放という形になったが、書類送検はされていた。哲平は西崎弁護士にそのことを誰にも言わないで欲しいと頼んだ。 「今は大変な時です。俺のことでみんなに余計な負担をかけたくないです」 「分かりました。弁護士には守秘義務がありますから大丈夫です。状況が状況なので結果が出るのはもっと先になりますが、今後の宇野さんの行動によっては不利な結果になる可能性もあります。気をつけてくださいね」  書類送検は前科にならないと教えられ、哲平はほっとした。前科がつけばインドどころじゃない、会社も千枝も先の人生も消えてしまう。 (仕事はラーメン屋でもやればいいけど……) 千枝のことを諦めるなど出来るわけが無い。 (とにかく大人しくしてよう!) そう決めたのだが、相田の携帯のことを忘れていた。  帰宅してから携帯のことに気づき、すぐにその保護をした。哲平は器用だからPET製保護フィルムとラップを駆使して直に触っても大丈夫なようにする。その上で中の画像を調べた。あそこでは相田がチラッと見せただけだし、自分にだって見る余裕など無かった。 (あの……サイコヤロー……)  ジェロームだと思わなければグロテスクで悪趣味な悪戯だと思うだろう。性器の周りまで走る赤いライン。膝を立たせてその正面から撮った画像…… (反吐が出そうって……こういうことか?)  誰よりもジェロームに見せたくない。すぐに電源を切った。   
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