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   捲っていく。母ちゃんが若い。父ちゃんも若い。生まれたばかりの双子が写っている。 「わっ! お姉さん、双子なの!?」 「多重放送なんだ、いつも」  加奈にはちょっとピンと来なかったけれど、さっき会った時、優しそうだった。  さらに捲っていく。 「お前の祖母ちゃん、おっかなそうだな」 「おっかないんじゃなくて、威厳があるんだよ」 「伯母さんって、メガネかけてキツそう!」 「キツいんじゃないんだ、知的なんだ」 「親父、ひょろひょろしてないか?」 「柳に風って、どんなことでも受け流すよ」 「なぁ、お前、どこだよ?」  見当たらない内に莉々と茉莉が出てきた。 「姉ちゃん! 俺、写ってないよ!」 「そんなこと、無いわよー。ちゃんと見なさい!」  もう一度見直した。みんなも真剣に哲平の顔を探す。 「わっかんねぇ! ただ、お前の姉ちゃんも妹も可愛いよな!」  騒ぎながら探す中、加奈は真剣な目つきだ。 (これ……まさか、ね? すごく可愛い女の子がいるけど哲平くんと目がおんなじ。笑った顔もそっくり……でも…違うよね?)  その子がアルバムの中で徐々に大きくなっていく。そして途中でぷつんとその子がアルバムから消えた。 「哲平くん……この子、妹さん?」 「ん? あれ? 誰だろ。莉々でも茉莉でもない…… 姉ちゃん!」 「何よ、うるさいわね!」 「この可愛い女の子、誰!?」  一知花が部屋を覗いて写真をチラッと見た。にっこりと天使のような笑みを浮かべた。 「哲平、あんたよ。ね? 可愛いでしょ?」  
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