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  「隆の親父!?」 「哲平くん……私どうしていいか分からなくて……」 「すぐ行く! 千夏ちゃんは帰っていいよ、夜遅いと家で心配するだろ?」 「でも……」 「任せろって。隆のことは誰よりも俺が知ってる。あ、千夏ちゃんは別にしてね。こっから先は俺がそばにいるから心配すんなって」 時計を見ると9時半だ。哲平は携帯を持って飛び出そうとした。 「お待ち! こんなに夜遅くどこに行くんだい!」 「母ちゃん、悪い! 隆んとこ行ってくる。あいつの親父さんが倒れたって!」 「坂本さん!? 家に行くのかい、病院じゃなくって」 「今、荷物取りに家に帰ってるらしいんだ。あいつ母ちゃんいないから手伝ってくる!」 「なんかあれば連絡しといで。なんでもするから!」 「サンキュー!」  卒業式は明後日だ。  隆の両親は離婚している。母は鳥取で新しい家族と共に住んでいる。隆が小学3年の夏休みに出て行った。哲平の家で遊んで帰ったらもう母はいなかったのだ。  それ以来、宇野家では隆のことを時々面倒を見ていた。隆はしっかり者で、宇野家で料理を習うと滅多に来なくなった。自分で家事をし、銀行の営業で残業続きの父を待つ。父子仲はとてもいい。  走れば10分のところに隆の家がある。そんなに立派じゃないが、祖父から相続したものだ。税金がどうとかで、隆の父は手放そうかと悩んでいると聞いていた。   
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