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学校をやめたのは好奇の目に耐えられなかったからじゃない。野次る声に耳を塞ぎたかったからじゃない。
自分の可能性を考えるのをやめたかった、無駄だから。それを教えたのは他でもない、ろくでなしの父だった。自分が父を認めていないことを自分の中で誤魔化してきたのに、真実を教えたのは他でもない父だった。
『勉強なんかしたっていいことねぇぞ』
夏男は学校をやめ、離婚して家で待つ母の元には帰らず、執行猶予付きで周りをうろうろしていた父を殴り、そして姿を消した。
もうすぐ18を迎える春だった。
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