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賄付きの寮?
何時間経ったのか分からないほど白熱している時に ピンポーン と、チャイムが鳴った。
「俺、出ますね」
「うん、お願い!」
ちょっと小休止してトイレから戻ったばかり。健はそのまま玄関に行った。
『俺だ』
いきなりのインターホン越しの不機嫌な声。
「どなたですか?」
『俺。河野』
「河野さん?」
「課長だよ!」
ジェロームが当たり前のように言う。まさかの課長に慌ててドアを開けた。いきなり袋を突き付けられたが、頭を下げて新年の挨拶をしようとする。その途中で遮られた。
「さっさと俺んとこに来い」
「は、あの」
「ジェイはどうした?」
「今ゲーム中で。呼んだ方がいいですよね」
「いい。ついてこい」
(なんとなく機嫌悪そう)
でも、お蔭でビーフシチューとお握りをゲット。皿からスプーンまでセットで預かってジェロームに声を掛けた。
「課長から差し入れです!」
「なに?」
「ビーフシチュー、作り過ぎたからって」
「わっ、食べよう!」
握ったばかりのお握りを頬張りながら肉たっぷりのビーフシチューを食べる。
「美味しいですね! どこのルーを使ってるんだろ? 俺もたまに作るんだけどこんなに美味しくないですよ」
「市販じゃないから」
「市販じゃないって?」
「課長、全部作るんだよ。最初っから」
「すごい…… 料理上手なんですね!」
「うん、いつも…… よく余るともらうんだ。具合悪いと差し入れ貰うし」
「へぇ! 賄付きの寮みたいだ!」
ちょっと失礼な言い方になってしまった。
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