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第03章 闇本屋ノ見タ夢
大きな声じゃぁ言えないが、儂は『闇本屋』を営んでいる。
表向きは、『玩具修理屋』だ、屋号は勘弁してくれや。
バレたら管理局に捕まっちまうからな。
じゃぁ、何で身元がバレかねない危険を冒してまで、前時代の媒体に記録してるかって?
……夢を見ちまったんだ。
それも、とびっきり悪い夢をな。
昔、何て本だったかな?
海の底の城で美しい姫にもてなされて帰って来た男の話は?
もう禁書になってから、相当経つからな。
もし、知ってる者がいるとすれば、姥捨て山の老人だけだろうよ。
一節だけは鮮明に覚えてんだよ。
『絵にも描けない美しさ』だとよ。
まさにあれさ。
言葉にも表せない恐ろしさ。
そんな悪い夢を見ちまったんだ。
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