第03章 闇本屋ノ見タ夢

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だがよぅ、気づいちまったのさ。 言葉に表せない恐ろしさを、相手に伝える術がねえってことに。 こいつは絶望だ。絶望の王様だ。 どうして、儂らは『文字』を失ってしまったんだろうな。 どうして、『文字』を失うことを(よし)としたんだろうな。 文字なんか書けねえし、読めねえ。 『本』に代わる物は頭の中にすっと入ってきて、便利だけど。 その代償に何かを失っていったんだろう。 気づきたくなかったよ。 何も知らないまま、墓場へ行くべきだったんだ。 金になるからって、『闇本屋』に手を出したのが、運の尽きだったのかもな。 読めやしない本。 パラパラ捲っても、意味不明な記号の羅列にしか見えねえ。 茶色に変色してたり、不快な匂いや手触りだったり。 何が目的で買っていくのか知らないが、ビジネスとしては当たりだった。
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