第04章 我想ウ、故ニ我在リ

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国連によると、当時の世界には10の脅威があった。 治安悪化だけでなく人間の尊厳すら奪う『貧困』。 人類を脅かすパンデミックを引き起こす『伝染病』。 自然環境と生活環境に影響を及ぼす『環境破壊』。 国家間での『戦争』。 自国内での『内戦』。 特定民族や人種の『計画的虐殺(ジェノサイド)』。 性的奴隷や臓器売買を目的とした『人身売買や残虐行為』。 核や生物兵器などに代表される『大量破壊兵器』。 暴力で政治的目的を達成する『テロリズム』。 ボーダーレス化・サイバー化する『国際犯罪組織』。 この脅威について、明確なANSWERをAIが出していった。 故に、AI特措法は、いつしか日本の憲法や国際憲章などより優先されるに至った。 文字を失った国民にとって、特別措置法という、緊急時に発動すべき法律は、本来の意味合いから外れたが、気に留める者は居なかった。
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