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第01章 コンナ偽リノ世界デモ
その物体は文字通り『カビが生えた本』だった。
「これが紙か。パピルスの語源になったという」
「逆だよ。パピルスが紙の語源」
紙媒体の本が世界から消え去って、久しい。
今や、全てのコンテンツはAIが創作し、管理している。
故に、もし紙の本を発見しようものなら、
ブラックマーケットで高値で売り抜けるか、
管理局にばれて連行されるか、という豪快且つ非情な二択なのだ。
「おい、俺に寄越せよ!」
「嫌だよ、僕が見付けたんだ!」
「文字も分からない癖に!」
「それはお互い様じゃないか!
僕だって文字は分からないけど、本くらい読めるし!」
人類は文字を忘れた。
しかし、本は読めるのだ、ダイレクトリーディングという技術で。
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