第05章 本ノ羅針盤

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問題は、俺達管理官(にんげん)が対応する事案イエローゾーン、レッドゾーンだ。 更に上には、幸い遭遇したことがないが、デッドゾーンがある。 これは先時代のトリビアだが、『レッド』と『デッド』は似ているそうだ。 全く、ピンと来ないが、一文字だか二文字違いで間違えることがあったそうだ。 俺達は、文字を失った代わりに、そんなケアレスミスを犯すことはなくなった。 脳内に送られるイメージは、レッドゾーンとデッドゾーンでは相当違うからだ。 今回はレッドゾーン指定。 ペーペーの管理局員では対応できないレベルだ。 幾度も昇格試験を合格した、俺達『管理官』の出番だ。 レッドゾーン事案は年に数えるほどしかないのだ。 普段、俺達はイエローゾーン事案のヘルプや指揮を執っている。 故に、いざレッドゾーン事案が発生した際に、腕が(なま)っていないか気にしてしまう。 平静さを装ってはいるが。 それは班長も同じなのだ。 故に、先崎さんは異質だ。まるで気負いがない。 プライベートでの悪評がなければ、もっと出世してるに違いなかった。
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