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AIが創るコンテンツは、2つの方法で頭に入れ、体験することが可能だ。
1つはフェイスゴーグルを装着すること。
もう1つは脳神経にコードを直結すること。
そこに文字という概念は一切不要だ。
人類の全ての言語は、音声データとして誤差0.03秒という精度でリアルタイムで自動翻訳される。
脳が指示を出す速度を凌駕している為、全くストレスがないのだ。
こんな偽りの世界でも。
映像データや音声データは、自分の設定で任意にセーブできる。
より詳しく知りたければ、睡眠時間を使って、情報をダウンロードすれば良い。
設定ミスや想い込みという原始的ヒューマンエラーがあると、
先程のような記憶相違――紙がパピルスの語源であると反対に学習してしまう事案――が発生する。
しかし、日常生活を送るには何ら障害がない。
常識は、クラウドベースにあり、脳波や心臓が動いている間は自動的にアップデートされるのだから。
尤も、確たる記録が失われているのだから、
『本当に紙がパピルスの語源』だったのかも知れないし、今を生きる人類には確かめようがないのだ。
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