第06章 乙女ノ祈リ

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1時限目の授業が始まるまで、質問と羨望の眼差しが彼女に注がれていた。 当然廊下には、他のクラスからも噂の転校生を一目見ようと、人だかりができていた。 幸い、授業内容は、彼女の記憶でまだ理解ができる範囲だった。 (もっと)も、学習の遅れなど、クラウドベースに繋げば補完できる。 ……良かったわ。 もし、困ったことが起きると、2が起きてしまうのですから。 でも、私は認めたわけではありません。 未散(みちる)天羽(あもう)のことを、認めてはいないのです。 だって、あの2人には、『高取』という苗字もなければ、お父様もお母様も居ないのですから。 どうせ、記憶障害になるのなら、あの2人の記憶が、存在が消えれば良いのに。 どうか、アカデミーでは現れませんように……。 私が無意識のうちに、祈りを捧げていると、周囲からは感嘆の溜息が起こったのでした。
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