第07章 早ク石橋ヲ叩ケ

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第07章 早ク石橋ヲ叩ケ

「班長、突入の許可を!」 「待て、雨堂(うどう)。相手は闇本屋だ。慎重に行こう」 くそっ。始まった。班長は慎重すぎる。 石橋を叩いて渡るどころか、叩いても渡らないことがある。 早く俺は、仙崎さんに班を率いて欲しい。 あの人は、石橋を叩かずに渡るスピーディーさ。 それから、石橋を叩いてぶっ壊すワイルドさを兼ね備えている。 俺は仙崎桃矢(せんざきとうや)になら、命を賭けても惜しくない。 こんな偽りの世界でも。 ぐわん……。 世界が一瞬歪んだ。バランスを崩しそうになる。 ん? 何だ、今の妙な既視感(デジャヴュ)は? やはり、昨夜の深酒が原因か。 仙崎さんに服を届けて深酒し、その状態で資料をダウンロードしたのがまずかったか。 脳に負荷がかかりすぎると、こういう既視感(デジャヴュ)やバッドトリップが起こりやすい。 VR過剰依存症や違法(ペーパー)ドラッグの乱用副作用のように。
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